研究内容

ナノ材料を用いた伝熱制御技術の開発(齊藤研)

銅ナノ粒子の酸化状況制御による沸騰熱伝達性能の変化

沸騰伝熱面上に形成された銅ナノ粒子層表面の濡れ性を、適切な熱処理を組み合わせることでコントロールし、純水による飽和プール沸騰実験に適用しています。具体的には、伝熱面となる銅円柱の端面に銅ナノインクを塗布することで銅ナノ粒子層を形成し、減圧下で熱処理を行うことで疎水性を示すCu2O粒子層を得ています。その上で、このCu2O粒子層に炭酸ガスレーザーを照射することで、親水性を示すCuO領域のパターンを形成しました。沸騰伝熱面の全面を親水性表面(CuO)とした場合には,限界熱流束(CHF)の値が平滑銅面に比べ約3倍に向上しました。また、CuO領域のパターンを微細化することで、親水性領域の面積は一定(75%)ながら、CHFの値を全面親水性表面の場合の95%まで高めることができました。



銅ナノ粒子と粒子状ポリマーの複合コーティングを用いた滴状凝縮

滴状凝縮は膜状凝縮より優れた熱伝達率を示しますが、長時間にわたって滴状凝縮を維持できる表面処理手法はいまだ発展途上の段階にあります。この取り組みでは、ポリテトラフルオロエチレンとポリイミドをバインダーとした、酸化銅ナノ粒子との複合材料をスプレーにより伝熱面に塗布する手法を提案しています。