研究業績

International Journal of Heat and Mass Transfer 234, 126101 (2024)
Dropwise condensation performance of sprayable polymer/copper oxide composite coating

著者

Evan Philander, Tatsuya Kawaguchi, Takushi Saito

カテゴリ

齊藤研究室

Abstract

滴状凝縮(DWC)は、膜状凝縮(FWC)よりも高次の熱伝達性能を高める可能性があることから大きな注目を集めていますが、長時間の凝縮を維持するための耐久性のあるDWC促進表面の拡張性は依然として課題となっています。スプレーコーティングは、金属基板に疎水性コーティングを堆積するための拡張可能な可能性のある方法です。しかし、従来のスプレー可能なフッ素ポリマーは基板への接着性が低いため、金属基板に堆積する前にベースコートが必要です。この課題に対処するため、本研究では、シンプルなワンステップスプレーコーティングと熱アニールを使用して銅基板に堆積されたポリテトラフルオロエチレン/イミドベースのバインダー/酸化銅複合材(PTFE/PI/CuO)コーティングの滴状凝縮性能を調査しました。PTFE粒子は必要な疎水性特性を提供します。同時に、ポリマーバインダーが粒子間の細孔を埋め、構造内での液滴の核形成を防ぎ、望ましくない液滴のピン留めにつながる浸水の発生を最小限に抑えます。PTFE/PI/CuOコーティングは、ピン留めのない滴状の凝縮をうまく促進し、膜状の凝縮よりも約2倍高い熱伝達向上をもたらします。さらに、コーティング表面の上部に形成されるマイクロスケールの親水性CuOクラスターは、液滴の離脱半径を変えることなく、液滴の成長速度と離脱頻度を高める核形成部位として機能します。その結果、PTFE/PI/CuOはPTFE/PIよりも1.4倍高い熱伝達を示します。さらに、サブミクロンの銅粒子を添加することで耐久性が向上しました。PTFE/PIコーティングは蒸気にさらされた後に破損しましたが、PTFE/PI/CuOには目に見える損傷は見られず、耐久性が向上したことを示しています。さらに、PTFE/PI/CuO 複合材料は、摩耗を受けた後でも熱伝達性能が同等に維持されたため、機械的損傷に対する耐性も示しました。最後に、引き剥がし接着試験により、PTFE/PI/CuO は PTFE/PI よりも接着強度が高く、滴状凝縮用途に適していることが明らかになりました。